年末に埼玉の義母を見舞う予定だったが、園内で嘔吐する高齢者が出て面会が急に中止になってしまったが
職員の方々にお礼のご挨拶をして、その足で山梨に帰省した。
年末は、家の周りの大きくなった梅、ハナミズキ、そしてビワの木の枝を払うのに3日間かかってしまった。払った
枝は「MH農園」に持って行き、トマトなどの支柱にしたり、スイカやカボチャの敷き藁代わりにして最終的には土に
鋤き込んで自然に返してあげる。MH流のSDHGsだ。
年が明けた元旦、風が強く自宅から見える富士山の山襞からは雪煙が舞っているのがハッキリ見えた。
古くから、『初詣は氏神様から』と言われている。石友、切手仲間宛ての年賀状に元旦の風景印を押してもらい
投函するのに朝8時過ぎに甲府中央郵便局を訪れた。たっぷり時間があるので、2022年 ミネラル・ウオッチング初め
に行くことにした。
行先は、年末のミネラル・ウオッチイング納めや年始のミネラル・ウオッチイング初めで近年毎年のように訪れている
甲府市内の産地だ。
ここは、ちょうど20年前の2002年の暮れに雪の積もった山肌の尾根から谷を虱潰しに歩き回り、坑道や露頭そして
ズリの位置を探査した思い出のフィールドだ。
・ 山梨県黒平向山鉱山の水晶
(Rock Crystal of Mukouyama Mine , Kurobera , Yamanashi Pref.)
この時は、水晶と武石(黄鉄鉱が風化して外形を残したまま内部がゲーテ鉱に変化したもの)を発見しただけ
だった。その後、YYコンビと訪れ、ガマ(晶洞)を開け、水晶の美晶と山梨県では珍しい砒酸塩を主とする2次
鉱物の美晶にも出会えた。
2020年10月に茨城・K兄弟を案内してここを訪れたときは黒平への林道ががけ崩れで路上に落下した大きな
岩を取り除いて進むというハプニングもあった。堅い露頭を叩き続け、小さなガマが開き、透明な平板水晶と毒鉄
鉱を採集した。
最後に訪れたのは2020年12月で、1年ぶりの訪山となった。水晶ガマこそ開かなかったが「スコロド石」などの
2次鉱物美晶で2022年のミネラル・ウオッチング初めを飾ることが出来た。
( 2022年 1月 体験)
久しぶりに訪れてみるとかなりの人が入っているようだ。1b近い巨晶が何本かソックリ残してあり、いつまでも
『山梨の水晶遺産』 として残しておきたいものだ。
(2) スコロド石【SCORODITE:Fe3+AsO42H2O】
濃い緑色、透明、斜方錐面結晶が石英の晶洞に成長している。今回採集した3ミリを超える大きな
結晶が集合する標本の表面にはガマの残留成分がコーティングされていて黒く見えるが、透過光で見ると
鮮やかな緑色に見え、”宝石級”だ。
(3) 水晶
ここの坑道は水晶を目的に採掘したもので、美晶や巨晶が産出するのは既報の通りだ。今回、直径が
10aを超える巨晶と表面が虹色に輝く「レインボウ水晶」を採集した。
レインボウ水晶と呼んでいるのは、水晶の表面にできた薄い鉄の2次鉱物の表面と水晶との界面で反射した光が
干渉して虹色に輝いて見えているものだ。
今では見ることもないが、私が子供のころ舗装していない道路の水たまりに落ちた自動車の潤滑油などが虹の
ように輝いていて不思議に思った頃が懐かしい。
産地に着いて荷物を下ろすと、手ごろな石を集めて”炉”をこしらえた。枯れ枝を集めて火をつけたが木が
湿っているのかなかなか燃え上がらない。近くに落ちていた朴木の大きな枯れ葉を集めて火を点け、針葉樹の
細い小枝を載せると燃え上がった。太い枝を何本かくべて置いて坑道に潜った。
1、2時間露頭を叩いて休憩や食事に出てくると火はとうに消えていて最初からやり直しだ。こうして、たき火
が燃え上がったところでお湯を沸かした。
物音ひとつしない静かな山の中で、湧いたお湯でコーヒーを入れて飲んでいると下界の雑事が遠い世界の
出来事のように思えてくるから不思議だ。これがたき火の効用なのだろう。
(2)2021年 年賀状
新春に多くの石友からも年賀状をいただいた。昨年採集した標本や採集風景の写真を載せた賀状もあるが、
新型コロナウイルスの影響でほとんど採集に行けなかった人が多かったようだ。
昨年「最近石の嗅覚なくなってきた コロナかな」の傑作を寄せてくれた滋賀・鮒鮨さんは、
私と同じように畑と老々介護でフィールドに出る回数も減ったようだ。
それらの中で相変わらず元気なのは”プーママ”さんで、素晴らしい標本の写真を載せた年賀状を送ってくれた。
やはり、女性は元気だ。